もしも過去へと行けるなら
なんというか呆然とした
心にぽっかり穴が空いたような感覚というのはこういうことを言うのであろうか
ただ何をするでもなくデパートのフードコートでほとんど無意識に、もう氷しか残っていないコップをストローでズルズルとすすり続けている
ことの始まりはおよそ15分前
「僕」こと小林悠人は失恋した
決して告白して振られたみたいなことではない、そんな勇気はない
ただ密かに想いを寄せていた奥山先輩に彼氏がいる事を知ったのである
かなり仲良しのようで頻繁に目を合わせては微笑み合っていた
頭をポンポンされたりなんかしちゃったりしてて、奥山先輩は恥ずかしそうなでもどこか嬉しそうな僕には見せてくれそうにない乙女の顔をしていた
極み付けには僕へのトドメかのごとく恋人繋ぎをして2人はフードコートを後にしたのだった
その数分後、失恋の実感がふつふつと湧いてきて放心状態の現在に至る
もしも過去へと行けるなら、奥山先輩に恋焦がれる前に、いや出会う前に行きたい
そんな考えに至ったのはそれから数時間後のことだった
7/24/2025, 1:54:14 PM