やさか

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 溢れたら、溢れたぶんだけ失くしてしまうと思った。
 わたしの外側に零れ落ちて、消えてしまうと思った。
 どれだけ大事にしていても、そうなると信じていた。
 ひと雫だって忘れたくなかった。
 これはわたしのものだ。わたしだけのものだ。
 そうして抱えて生きてきた。
 ぴんと張り詰めた水面、美しく濁ったわたしの心。
 そして、今。
 そこに触れようとするあなたの指を、予感している。
 初めて何かが壊れるだろうときを、待っている。
 どうしてか。どうしてか。


 #溢れる気持ち

2/5/2024, 2:28:34 PM