街へゆく
街で働く
街から戻る
郊外の小さなマンションに戻って眠る
目を覚まし
街へゆき
街で働き
街から戻る
その繰り返し
その繰り返し
街には人がいる
それはたくさんの人がいる
街には仕事がある
だから俺のようなものも
なんとか仕事にありつける
俺は街へゆき
街で働き
街から戻る
働いた分だけ駄賃を持ち帰る
米や野菜を買うときは
近所の販売所へ行く
田んぼと畑に囲まれて住んでいるから
そこで穫れたのを金と換えてもらう
欲しい本があるときは
街の本屋に行って買う
思うに
田舎に住んで田んぼや畑をやる人は
自分で食うものを自分で用意できるのだから
ずいぶん気楽でいられるだろう
街に住む人は田んぼも畑もやらずに
本など書いて暮らしているのだろう
そして書いた本を売って得た金で
米だの野菜だのを買うのだろう
そして田んぼも畑もやらず
また本を書くこともしない俺のようなものが
街を出たり入ったり
世間はそんなふうにできているのではなかろうか
畑をする人と本を書く人
そしてそのどちらもしない俺
世間にいるのはそれだけのことかもしれない
1/28/2023, 12:16:50 PM