身震いしながら縁側に座る。寒いけれど、冬特有の暖かな午後の日差しが心地いい。日向ぼっこをしていると、隣に一文字則宗が腰を下ろした。
肩や手が触れ合いそうで触れ合わないけれど、ふんわりと貴方の体温を感じれる。この距離感、悪くない。
「寒いなぁ。」
「冬やもんね。」
いつの間にか白くなった息を悴む手に吹きかければじんわりと温もる。それでも寒くて、手を擦り合わせていると横からスッと手が伸びてきた。
「相変わらず、冷やっこいなぁ…お前さんの手は」
「……………冷え性だからね」
繋がれたことにより、則宗の体温を私の手が奪う。振り解きたいところだが、思いの外暖かくて離れ難い。ふとまだ冷たい片方の手に目を向け、ニヤリと口角があがった。向こうから触れてきたのだ、こっちの手も暖めてもらおうかな。思い立ったらすぐ行動!と則宗の方に体を向けた。突然の行動に珍しくきょとんとした表情、ちょっと幼くて可愛らしい。
「なんだ?ある…っっ!?」
彼が最後まで言うまでに、身を乗り出して己の片手を則宗の剥き出しとなった首筋に当てがう。突然の冷たさに飛び上がる則宗。ぞわりと逆立つ肌の感触にしてやったりと優越感に浸れる。こんな悪戯ができるのだから、冷え性も存外悪くない。やいのやいのと文句を言う彼を無視して空を見上げた。
なんてことないこんな距離が1番いいなぁ。次は誰の体温を貰おうか……
一文字則宗×女審神者
12/2/2022, 4:08:25 AM