甥っ子の誕生日祝いに絵本を贈ろうと本屋に立ち寄ったときのこと。平積みの色とりどりの絵本のなかで、見憶えのあるタッチのイラストに目が留まった。
『ぼくはふね』
懐かしい! 『きんぎょがにげた』の五味太郎さん、新刊が出てたのか。なんでも画業50年記念作品なんだとか。
ぱらぱら読んでいく。ちいさな船が嵐で陸に乗り上げ、もうおしまいだと嘆いていると、「その気になればどこにでも行けるよ」とほかの船にアドバイスをもらう。船はその言葉を信じ、“水の上をぷかぷか浮く”という決めつけを捨てて、山や街を自由気ままに進み始める……。
一冊は絶対これにしようと決めた。
シンプルでスッと胸に飛び込んでくる文章がいい。濃いめの水彩画みたいな温かみのあるイラストも。
気に入ってくれるかな。
いいものはずっと受け継がれる。月並みな言葉だけどまさにその通りだ。素晴らしい絵本ってどれだけ時が経っても色あせない。手放して久しいのに、タイトルも内容も、どんな終わりかただったかも、まざまざと思い出せるんだから。
ぐりとぐら。「ぐり、ぐら、ぐり、ぐら」の口癖が移った。
おばけのてんぷら。めがねの天ぷらが気になる。
グリーンマントのピーマンマン。私はピーマン好きだけどな。
サンタのなつやすみ。サンタもバカンスしたいよね。
はらぺこあおむし。虫はこわいけどこれは好き。
ノンタンシリーズ。病院の待ち合い室でいつも私を慰めてくれた。
ほかにもまだまだたくさん。
あなたはどんな絵本を読んで大きくなりましたか?
(これからも、ずっと)
ぐりとぐらが森で作った黄色いたべもの。カステラだのホットケーキだの玉子焼きだのオムレツだの、人によって記憶が違うの面白い。
4/9/2024, 10:23:32 AM