花の香りと共に
己の人生のすべてを見直す。
気づけば1人で赤点ばかりを取っていた。
気づけば周りには誰もいなかった。
惰性で生きている。
死体が喋っているようだった。
私は伽藍堂だった。
気持ちだけの花と共に、また貴方の前へ立つ。
貴女は私を気にもとめない。
声を発さない。
気づくことはない。
死体が死体に花を贈っている。
枯れることのない、死ぬことのない造花を。
帰り道、己の人生のすべてを見直す。
まだ赤点ばかりを取っている。
貴女さえももういない。
死ぬ気力だけが足りないまま生きている。
喋ることもない。
空虚を体現したようであった。
ただ一つ、この瞬間に違うのは。
貴女の愛した花の香りが共にあることであった。
3/16/2025, 12:17:41 PM