『隠された手紙』
恋人が謎の死を遂げた。
恋人の両親から連絡を受けた時は
受け入れることが出来なかった。
葬式の時、そんな私を見てか恋人の両親は
恋人の遺品整理を手伝ってくれと頼んできた。
私でいいのかと尋ねると、
「もし欲しいものがあれば遠慮なく持ってってね。」
と日頃の信頼もあってか抵抗は無さそうだった。
久しぶりに恋人の部屋に入れたというのに
静かでとても寂しい。
居た形跡はあるのに恋人はいない...
センチメンタルになるも
頼まれたことをやろうと頬を叩き作業を始める。
学生時代のノート、デートに来てくれた服、
趣味のアンティークもの...
正直全部持ち帰りたいくらいだ。
さすがにそれはダメだなとセルフツッコミを
心でやっていると、机の引き出しの奥底に手紙があった。
手紙でのやり取りは少しあったが
見たことの無い便箋に入れられている。
誰とのやり取りだろうか、
恋人に忘れたくない人でもいたのだろうか。
恐る恐る手紙を開く。
恋人が書いたわりにはかなりの殴り書きで、
「これを読んだ人、
私はこの手紙を読まれた時には
いないかもしれない。
両親の言葉を信じないで。殺される。」
と書かれていた。
最後まで読みながら目を通したあと、
2月の寒い部屋の中なのに動悸と冷や汗が収まらなくなる。
この手紙はなんだ。恋人は何をされた?恋人の死は...
とりあえず逃げた方がいいかもしれない。
手紙をポケットに入れ、部屋を出ようとする。
「おや、整理はもう終わったのかい?」
いつもの口調なのに
どこか圧を感じる声色が背後から聞こえる。
振り向こうとした瞬間、
後頭部に強い衝撃を受け意識を失った。
語り部シルヴァ
2/2/2025, 11:11:42 AM