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Theme:キャンドル

キャンドルと言えば、私にはずっと不思議に思っていることがある。

誕生日にはケーキに年の数だけキャンドルを立てて、火をつける。
そして、灯された火を誕生日を祝われる本人が吹き消す。
よく見かける光景だが、私はこれが実に不思議だった。

キャンドル…というより蝋燭に灯された火は「命」の象徴というイメージがある。
実際、日本の昔話に『寿命のロウソク』という話があるそうだ。
蝋燭の長さは人間の寿命を表し、燃える炎は人間の命を象徴する。

では、自分がこの世に生を受けた記念日に、なぜ自ら炎を吹き消すのだろうか

調べてみると、誕生日にケーキに立てたキャンドルを吹き消す風習は、13世紀頃のドイツの発祥らしい。
火を吹き消す理由は魔除けのため。当時は『誕生日には悪魔が取りつきやすい』と考えられていたかららしい。
その後、19世紀頃にアメリカで「ケーキにキャンドルを立てて吹き消す」という風習が始まったそうだ。ただ、火を吹き消す意味は『願いを込める』というものに変わっている。
日本の誕生日は、こちらを参考にしているらしい。
キャンドルを立てる風習の最古のものは古代のギリシャにあり、これは月の女神アルテミスへの祀りものだそうだ。祀りものに立っているキャンドルの火から立ち上る煙が空へ昇っていくことで「人々の願いを神々に届ける」という目的があるらしい。ある意味、アメリカでの風習は原点回帰なのかもしれない。

もうひとつ、興味深い風習の違いがあった。それはキャンドルの数だ。
アメリカ(そして日本)では歳の数だけキャンドルを立てるが、ドイツでは歳の数に1本足した本数のキャンドルを立てるそうだ。
新しい命の灯火をもう1本立てる意味まではわからなかったが、非常に興味深い。

年に一度の誕生日。
その日には今までの人生を振り返り、新しく増えたキャンドルに願いを乗せて吹き消してみるのも面白いかもしれない。

11/20/2023, 9:11:07 AM