蓼 つづみ

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もし楽園があるのなら

そこではもう
傷ついた者が
傷を抱え続けなくていい

恐怖はほどけ
夜もあたたかい

思い出から
痛みは消え
愛だけが残る

奪われたものが
戻るわけではない

消えた命は
消えたままで
失われた時間も
地上に置き去りのままだ

けれど向こう岸では
もう
傷を握り締めて
眠らなくていい

泣き声は
そこで終わる

きっと
花曇りのような空だ

強すぎる光はなく
裁きの嵐もない

ただ
傷ついた者が
安心して
力を抜けるほどの
やわらかな曇り空

そして
痛みを覚えているのは
苦しみを与えた側だけ

壊した者は
ねじ曲がった道から解放され
自分が与えてしまった苦しみを
深く知り続けてしまう

逃げ場のない理解として

どれほど冷たかったか
どれほど怖かったか
どれほど人生を歪めたか

その重さだけが
静かに
魂へ残り続ける

赦されるためではなく
ただ知り
後悔に深く沈む

だから楽園では
傷ついた者ほど先に
眠りへ近づいていく

そこでは
何も警戒せずに

春の曇り空の下で
眠る花のように

寂しくはない

怯えずに眠れる場所で
残された者たちの人生が
終わりきるのを待っている

急かさず
呼び寄せず

ただ
灯りを消さないまま

題 楽園

4/30/2026, 2:09:33 PM