世界の終わりに君とディナーがしたいとカッコつけたこと言ったら、じゃあ行こう! となり、近くにこんな素敵なお店があることを知った。
言ってみて良かった。そんな余裕ないなんて言われたらどうしようかと思った。
テラス席で美味しい料理を頬張る。幸せな気分だ。
テーブルの真ん中に置かれた淡いランプの光に照らされた君は、一段と美しく見えた。
「良いお店ですね」
次の料理を運んできた店主らしき男にそう告げると、彼は嬉しそうに笑った。
「このお店は私の夢が詰まっていますから。最後まで見ていたい私の夢なんです」
なるほど。彼にとって何よりも大事なものがこのお店なんだ。
だから、こんな状況で一人でもお店を続けている。
そう、本当に世界が終わりそうなこの状況でも。
ある日突然、地球を征服しに宇宙人が攻めてきた。
徐々に侵略され滅んでいく地球。もうすぐここも終わりだろう。
空がぱっと明るく輝いて、思わず顔を上げる。
空からは無数の光の帯が降り注いでいる。その光景のあまりの美しさに息を呑んだ。
「綺麗だね」
君は言った。
「そうだね」
僕は静かに頷いた。
『世界の終わりに君と』
6/7/2024, 10:36:44 PM