summer

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/遠くの街へ



空は続いてるよ。
というのが君の口癖で、今思えばなにかで読んだのだろうその言葉を、少しまぶしそうな目をして言うから格好よく見えてしまった。

空は続いている。
どこへ行ったって。

それは意図せぬ殺し文句となり、何人もの女の子たちが寂しいときに君の隣へ来て座っていたのを知っている。私もその一人で、言葉を言葉どおりに受け取っていたにすぎない。

たぶん君は賢かった。
木の苗を植えるみたいに、若くしてその言葉を受け取り、何度も唱えることでいつか言葉の真実が落ちてくるのを待っていたんだ。

今はわかるけど。
レースカーテンが青空を透かして揺れる。私はまだあの言葉を覚えていて、気が向くと架空の折り紙を折って飛行機をとばす。君がどこに居るか知らないので、ただ空の上のほうへ投げる。


2/28/2023, 10:46:20 AM