ミキミヤ

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月曜日の朝、幼馴染で隣のクラスのユズから、メッセージが入った。

『熱でた。今日休む』

最近本格的に寒くなってきた上に乾燥していたから、風邪でも引いたのだろうか。いつも元気なユズには珍しいことだ。私は『そっか。お大事に』と返信した。

私はいつも通りの朝を過ごし、いつも通りに通学し、いつも通りに授業を受けた。そして、昼休みの時間がやってきた。
いつもお昼はユズと食べてる。いつも教室の後ろの扉からユズが顔を出して「カリンちゃーん!お昼行こ!」と声をかけてくる。私はその誘いに乗って、2人で中庭でお弁当を食べるのだ。
私はランチバッグを取り出して、いつも通り自分の席でユズを待とうとして……気づいた。あ、今日はユズお休みなんだっけ。
なんだか心がしょんぼりと萎んだ。クラスの友達の輪に入りに行ってもよかったけれど、どうもそういう気にもなれない。今日は1人で中庭で食べることにした。

中庭のベンチに座り、1人で座るベンチの広さを実感してため息を吐いていると、ユズから新着メッセージがあった。

『インフルだった…。今週いっぱい学校行けない(ToT)』

私はまたため息を吐いた。しばらく2人のお昼はお預けだ。

『インフルかぁ。ゆっくり休んでしっかり治すんだよ。お大事にね』

と返信し、またため息を吐きながらお弁当箱を開けた。1人で黙々とお弁当を食べる。なんだかいつもより味がしないような気がした。


次の日も、また次の日も、私は1人でお弁当を食べた。クラスの友達と食べる選択肢はなかった。めんどくさいとか、私が急に入っていったら友達に悪いかもとか、いろいろ言い訳は考えたけれど、結局のところ一番の理由はこの時間はいつもユズとの時間だったからだと気づいた。私にとって、他の友達と食べるのはしっくり来なかったのだ。


そんな感じで毎日過ごし、やっと金曜日がやってきて、過ぎ去っていった。
私が帰宅して制服から部屋着に着替えた頃、月曜日以来久しぶりにユズからメッセージが届いているのに気づいた。

『熱下がった!月曜日から学校行けるよ!会えるよ!』

メッセージの下には、バンザーイと両手を挙げて喜ぶスタンプがあった。ユズの喜びようが目に浮かんで、私はくすりと笑っていた。

『よかった!じゃあまた月曜日にね』

とメッセージを送信し、私もバンザイのスタンプを返すと、すぐに既読が付いて、笑顔で激しく頷くスタンプが送られてきた。私はそれを見て、ついに声を出して笑ってしまった。
元気になったようでよかった。本当によかった。


月曜日の昼休み、ランチバッグを用意していると、教室の後ろの扉から、

「カリンちゃーん!お昼行こ!」

と元気なユズの声がした。
私はランチバッグを片手に勢いよく立ち上がって、ユズのもとへ駆け寄った。

「えへへ、久しぶり」

ユズがヘラリと笑って言った。私はそれに

「久しぶり。待ってたよ。さ、行こ」

と応えて、私達は2人で中庭へと歩き出した。
その日の昼は、私もユズも、空いた1週間分を取り戻すように饒舌に話した。



君の声がする。
それがこんなにも嬉しいことだなんて、私、知らなかったよ。

2/16/2025, 6:14:46 AM