「あぁほら!あっちにイカ焼きあるよ!早く行こ!」
「ちょ、は、早いって」
インドアな貴方だから、お祭りに誘っても楽しくないかなと思っていたけど、どうやら私より楽しそうでなによりだ。
都会にある、田舎寄りのこの地域で開かれる小さな祭りは、今年で20周年を迎えるらしい。この地域が大好きな私は、しばらく外に出られなかった友達を誘って、祭りに参加した。
貴方の笑っている姿を見るのは、何年ぶりだろうか。
「にしても、お祭りは美味しいものが沢山あっていいね!あ!焼きそばまた食べよっかな〜」
「えぇ?!また?!」
「いらないなら、貴方の分も私が食べちゃうよ!おじさん、焼きそばふたつ!」
あぁそうだ、貴方はとても食いしん坊で、いつも私を困らせていたんだ。それすらも忘れてしまうだなんて、私は友達失格だ。
「あぁっ、10円足りない!」
「もう、しょうがないなぁ。今日だけね」
「わぁ!ありがとう!」
お祭りは、沈みきった貴方の心を救ってくれた。
7/29/2024, 2:38:49 AM