NoName

Open App

#ハッピーエンド

―――

勇者が、遂に魔王を討ち滅ぼした

進軍していた魔物達も次々と退き

世界に、真の平和が訪れた




























嗚呼、なんと言うことだろうか

ビリッと言う音と共に、床に新聞が散らばった
それを踏みしめ、男は部屋を出ていく

薄暗い廊下に足音が響き
静かな空間がより鮮明に浮いた

窓の先からは美しい青空が見えるのに
この辺り一体は、厚い灰色に覆われている

そうして一つの部屋の前で止まると
重厚感のある扉を開けた

その中央には、大きな棺が一つ

「ふぅ......失礼いたします」

男は数歩歩くと、棺の蓋にそっと手を掛けた
ホコリひとつないそれを退けると、中には一人の女性

安らかな顔を浮かべる、角の生えた女性
彼女の顔を捉えた瞬間、男はその場に崩れた

「どうして」
そう呟く男は、目に大粒の涙を貯め、叫んだ


「どうして、貴女が死ななくてはならなかったの」

3/29/2026, 11:40:45 AM