大人たちの目を逃れて二人で物陰に隠れた。こんなに監視が厳しいと、息が詰まる。
きっと叱責されるだろうが、それがなんだというのだ。お互いになんとも思っていない。
少しカサついた凍える手先を合わせて、温め合う。
気休めだけれど、それでも気持ちも身体も少しだけマシになった。
真っ白な相手の手先を見つめて、雪と区別がつかなくなりそうだといつも思う。
溶けそうだと考えたことはない。輪郭が曖昧になるような薄い印象の人物ではないもので。
雪景色の中でも鮮烈な存在感があり、きっと自分はどこにいても彼を見つけられる。
世界でお互いだけが味方だった。
いつか相対することがあるんだろうかなんて。
世界はずっと広がったけど、見上げると隣にいる人物に妙な縁だったなと息をついた。
相手に言うと自身の努力だと静かに、しつこく主張されるので口には出さないけれど。
それに関して否やは全くない。自分自身は本当に何もしておらず、その通りでしかないからだ。
一度道を分たれはしたけれど、再び縁をつなげるのは容易ではなかったろうことは、話以上に感じるものがある。
感心や、尊敬、憧憬だなんて称される感情がないわけではないが、少しずつ、聞いていきたい。
あの頃と違って、自分たちには充分に時間があるのだから。
7/7/2024, 11:32:17 PM