りん

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やるせない気持ち


叶奈ちゃん。いつも神社にいた不思議な娘。あれ、神様的なやつだったのかもしれない。一緒に虫捕まえたり、飯食ったりしたなぁ。
でも、親が仕事の都合で引っ越すことになって、叶奈ちゃんとはお別れになっちゃった。

叶奈ちゃんは、
「私は大丈夫。でも、、いつか、またここに来てほしいな。ダメ?」
俺は確か、、。
「わかった!絶対、絶対大人になったらまた来るね!!」
って答えたっけ。
んで、叶奈ちゃんはお守りって言って、なんかの種みたいなのをくれた。手に渡った瞬間、叶奈ちゃんはどっかに行った。

それから引っ越した先で、すぐに友達もできた。テストも満点を取って、、。中学では大会で優勝できた。高校受験は第一志望に入学できて、彼女も。
貰った種は、どうしたらいいのかわからなかったんで、ダイソーで買ったプラケースに入れ、部屋に飾っといた。約束を忘れないために。でも、結局タンスにしまってそのまま忘れていた。てか、上手くいってたのお守りのおかげだったのかな?

大学生生活も何もなく順調に過ごしていたころ、ふと約束を思い出した。本当に急に。今まで忘れていたのに。猛烈に、「叶奈ちゃんのところにいかなきゃ!」って思った。夏休みに入る直前だったので、夏休みに入ったらすぐ行けるよう準備をすすめた。


懐かしいなぁ。この木。セミの抜け殻スポットで乱獲してたっけ。この家。超怖いおじさんが住んでいたんだけど、、。ピンポンダッシュで度胸試しに使われてて可哀想だった。この道。よくタバコの吸い殻とかペットボトルが落ちてたからボランティア活動(強制)で拾わされてたな。

っと、、到着。のはずだが、、。
ない。

聞くと、俺がここに来る一年前に解体が決まったらしい。で、俺が思い出したあの日、ちょうど解体が終わったそうだ。すぐに行けばよかった。ずっとずっと待っていたんだろう。俺が来ると信じて。だが、もう叶奈ちゃんが完全にいなくなる時に、思い出させてくれた。これの意味って、、。


帰って種を見た。この種、多分梅の種。だけど、、。割れちゃってる。
ちっちゃな植木鉢を買ってきて植えてみる。生えてくるはずもなく。
託してくれたもの、全部なくなっちゃった。あの娘の遺したもの、あの娘も全部無に帰しちゃった。



やるせない気持ちって、こういうこと言うのかな?

8/24/2024, 4:35:48 PM