泡沫花火

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雨の交差点の奥に、もうすぐ君が見えなくなる。
引き攣った喉の奥で君の名前を呼んでも、傘を叩く音で届かないだろう。

愛してる、なんて、元からかたちを持たないくせに、君と僕の心は、繋がりは、今確かに壊れたのだろう。

君が触れたもの全部が優しく見えて、それを丸ごと愛おしいと思えた日々が、繰り返し繰り返し頭の中で浮かんでは消えずに、ただ、積もりに積もって溢れ出す。

薄汚れたビニール傘越しの世界は、どこを歩いても灰色に滲んでいた。

8/28/2024, 10:25:16 AM