『秋晴れ』
今日は朝から雲一つない快晴だ。多くの人からすれば絶好の体育祭日和となるのだろうが、運動が絶望的に苦手で嫌いな私からすれば最悪の天気である。これがまだ本来の日程通りであれば諦めもつくというものだが、延期に延期を重ねての今日であるというのがしんどさに拍車をかけている。あと1回、今日さえ雨で流れてしまえばすべての予備日が無くなったというのに。現実は無常である。開会の挨拶の時に「この素晴らしい秋晴れの下体育祭を無事に開催できることが大変喜ばしいことである。」と校長が語るくらいのいい天気だ。周囲からの明るい声が響きながら絶望的な私の1日はこうして幕を開けた。
『忘れたくても忘れられない』
嫌なことをされるとその記憶は忘れたくても忘れられないものになる。心の傷とはそういうものだ。実際、私は小さいころにひどいいじめを受けてきた。そのせいか、ある程度のことなら笑って流してしまうことができるようになった。そして自身が笑っていられている間に自分から行動を起こすことで解決してきた。そう、そのはずだった。
異変を感じたのは高校の時だ。その時も一部のクラスメイトからいじめを受けるようになった。相手が校内有数の問題児だったこともあってなかなかいじめは無くならなかった。そんなある日トイレから出られない日がやってきた。それまで無遅刻無欠席でやってきたのに初めて遅刻した。そこから時間ギリギリになる日が増えていった。心配になって受診した病院ではストレスだと言われた。つまり自分ではまだまだ大丈夫と考えていたが身体の方がSOSを出していたらしい。あの時のいじめられた記憶とどこかで身体が混同してしまっていたのだろう。結局薬を飲みながら登校し時間が解決するのを待つことになった。
そんな奴と同窓会ですれ違った。奴は相変わらずとち狂った行動をしていて当時と何ら変わっていないようだった。とはいえ下手に改心されて良い奴になられているよりはあの時のままでいてくれた方が心も痛まない。さて、忘れたくとも忘れられないこの恨み、どうやって晴らしてくれようか。
10/18/2024, 12:29:12 PM