E_Asayake.

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「今日だけ許して」

今日だけは、
あなたのことを書くことを許してほしい。
今日だけは、
あなたのことを想って泣くことを許してほしい。
今日だけは、
あなたを思い出して悲しくなることを許してほしい。
………
今日だけは、今日だけは、今日だけは………
今日だけ、なんてことはない。
毎日毎日こうだ。
あなたはきっとこう思うだろう。
「私のことをまだ引きずっているの?」
と。
そうしたら、きっと私のことを嫌いになってしまうだろう。
あの時、あなたから約束をもうけられた。
「新しい人を見つけてね」
私は、約束した。
最愛の人に言われたのだ。
約束しないわけにはいかない。
あなたのその言葉には、
「私のことは忘れて」
という意味も込められていたのだろう。
でも、私は…
それができそうにない。
心が拒んでしまう。
あれからあなたのことを思い出さなかった日はないし、
あなたの写真を消すことも、
あなたとの思い出を忘れることも、
あなたからもらったものを捨てることも、
あなたと付き合う前にもらったミサンガを切ることも、
できないでいる。
きっと、一生できない。
他の人を好きになってみようとも思った。
私の学校は異性が10倍ほどはいる。
それでも、あなたのように私と共鳴できるような人はいなかった。
いや、ほんとは見つけたくないのかもしれない。
認めたくないんだ。
あなたがいいから。
あれから全くしてなかったメイクも始めてみようと思った。
外見だけでも変わろうとおもった。
たが、心は?
心は変わりそうにない。
というかそもそも、私の心はどこにあるのだろうか。
私のもとには、
ない。
あなたに盗まれたままだ。
アニメの映画で、
"あいつはとんでもないものを盗んでいきました。あなたの心です。"
みたいな台詞があった気がする。
全く、そのとおりだ。
あなたは私の心を盗んだまんま私の前から去ってしまった。
本来返してもらうべきものだったのか?と問われると
私は「違う」と言おう。
本来は、私が取り戻すべきだったのだ。
あの、私の前からあなたがいなくなった日に。
でも、それができなかった。
あなたのことがまだ好きだったから。
たちが悪いのが、
今は好きじゃないのか?と問われると
「分からない」
というしかない。
というわけであなたに私の心は持っていかれている為、
"今"の私の心は私の心であって私の心ではない。
昔の私の心の"模倣品"、レプリカでしかない。
あの時から、心から楽しいと思ったことも、嬉しいも、悲しいも、好きも、嫌いも、恋愛も、それから、それに………
様々な感情が分からない。
なぜなら、私の心は"模倣品"なのだから。
全ては、私が悪いんだ。
私があなたを傷つけてしまっていたから。
たくさん、我慢させていたから。
後悔は、消えることはない。
なんなら、今でも増えてる。
はは…
全く、あなたに向ける顔がない。
そして、あなたがいなくなって気づいたことの一つ。
とっても重大なことが発覚した。
"友達がいない"
私は、あなたがいれば十分だった。
私には、元々私のことを話せるような人はいない。
遊んでいて、楽しいと心の底から思えるような人も。
話していて、私を感動させてくれるような人も。
私が尊敬できるような人も。
いない。
けれど、私は十分だった。
満ち足りていた。
全てあなた一人に持っていた感情だから。
だからこそ、あなたがいなくなった私には
なにも、なにも…
ない。
私の心は救われるのか?
救われない。
心はここにないのだから。
私は生きていけるのか?
生きてはいける。
"模倣品"の心があるから。
生きてて楽しい?
楽しくはない。
死にたい?
死にたくはない。たぶん。
今、私は独り歩いている。
何処を?
分からない。
周りにはなにもない。
なにも見えないし、聞こえない。
香りも、触覚も、味も。
あるのは、痛み。
それでも、私は進む。
あの約束を果たすため。
いや、それよりも
あなたにあの約束を取り下げてもらえないだろうかという自分勝手な願いのため。
私は今日も生きる。

今、周りにいる人々へ。
"今日だけは許してほしい"
"模倣品"の心で生きることを。

もう、私の前にはいないあなたへ。
"今日だけは許してほしい"
いや、"今日も"…
あなたのことを忘れられない"私"を。

    from.だれも食べてくれない酸っぱな蜜柑より
            〜もう咲かない花を添えて〜


P.S.
これを書いたあと、あなたとの思い出が一気に思い出されて泣いてしまいました。
これは、ちゃんと"今日だけは"許してほしい。
あなたのことを想って泣くことを。

10/5/2025, 3:30:53 AM