久々に空いた時間ができた。
やりたいこともないし、走りにでも行くか。
着替えて靴紐を固く結ぶ。
念のため準備運動はしっかりやっておこう。
まずい、この時点で結構きつい。
ゆっくりと走り始める。
冷たい空気が体内に入ってくる。
呼吸の辛さとは裏腹に、高揚感で心臓がくすぐったい。
大分ペースが掴めてきた。
さすがに、あの頃のようには走れないな。
下り道、見える夜景は変わっていない。
山の麓を走る。お決まりのコースだった。
山の方を見上げる。ぼんやりとススキが月に照らされている。
山の大きさ、自分の小ささを感じる。
あの頃は先輩と話しながら走っていたから気がつかなかったな。
少しペースを落として、澄んだ空気を大きく吸う。
淀んだ空気をすべて吐き出す。
もうこんな季節だったのか。
目薬とポケットティシュ買わないと。
『ススキ』
11/10/2022, 10:46:55 AM