「今年はまだ降らないね、雪。」
彼は今にも雪が降りそうな雲を見つめて、そうつぶやいた。
「降らなくていいよ、寒いだけだから。」
そんな彼とは対照的に私は、集めた薪に火をつける。
「はは、相変わらず寒がりだね。」
彼も手伝ってくれて、すぐに火は大きくなった。
「うん。」
「でもね、雪が降るからこそ、美しいものだってあるんだよ。」
「知ってるよ、去年も聞いた。」
彼はそういうのが好きだから。
「そう。」
「でも寒いもんは寒いんだよ。」
私は火に手をかざす。
「そうだね。」
彼も同じように手を出した。私は知ってる、彼も寒がりで、だから大して雪を待ってるわけではないことを。でも彼は、私の前では強がりで。
「早く降らないかな。」
「ふふ、そうだね。」
「何がおかしいの?」
「ううん。なんでもない。」
12/15/2024, 11:12:11 AM