『胸が高鳴る』
『あの人』を初めてみた時、俺は胸が高鳴った。
俺、煌驥は徒歩で通学している。
俺のいつも登校する時の道には横断歩道がある。
その時に、ある美少女が居る。
名前は知らない。知っているのは顔、性別、あとは……俺とは違う結構偏差値の高い女子校に通っている、と言うくらいか。
あまりにも知っている事が少な過ぎる気がするがまあただバレない様にちょっとだけみてるだけだから良いか。
なんて考えていたら件の横断歩道に着いた。
あの子が居ないな。珍しい。体調不良か?
そんな風にあの子を心配していると、不意に後ろから声をかけられた。
『あの、煌驥さんですか?』
誰だよと思い振り向く。そしたらあの子が居た。
俺が横断歩道でチラチラ見てる美少女。話しかけられるとは思っていなかった。
『あ、はい。そうですけど。』
と返事をするとあの子からよくわからない言葉が来た。
『言いたい事があって。これからよろしくお願いしますね? 仲良くしてください。』
そう言ってあの子は去っていった。
さっきの言葉、どう言う意味だ? これから? 横断歩道で? 意味がわからない。
そして今何時だとスマホを見る。
遅刻寸前だ。走らなければ間に合わない。
『やっべ!! 遅刻する!!』
そう言い本気で走る。このペースなら間に合うはず。
その時の俺は、知らなかった。この後俺の人生は思わぬ未来に進む事を。そして俺が走って行った後に『まずは一歩前進です。ふふ、逃しませんよ、煌驥さん?』と学校に行くと見せかけて近くの電柱に隠れて言っていた事を。
教室に行き、時計を見る。セーフだ。
荷物を自分の席に置き、今朝の事を考える。
まさか話しかけて貰えるとは。凄く嬉しい。
でも1つ疑問が出て来た。
なんであの子は俺の名前を知ってるんだ?
その答えも、なんで俺が電柱に隠れて言っていた事を知ってるのかも、秘密だ。
3/19/2024, 10:48:37 AM