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1『突然の別れ』
日常、いつも通る山道を通り学校へと向かう。山道を通るといった時点でなんとなく予想はつくだろうが、俺が通っている「私立佐々木ヶ原高等学校」は山の中の中の中の奥とでも言わなければならないほど山の中にある。こんな山の中の学校でも、3月の受験者の数は例年300人を超える。俺も初めは、友達が受験するっていったとき、あんな山の中で不便ところなんで受験するんだろうって思ったさ。でも、それでも受験したいそう言って友達はきかなかった。俺がこの学校に入学したきっかけは一人の少女だった。10月の少し肌寒くなってきた頃だった。夕方もえ暗い頃、だいたい5階建ての建物(ビルみたいに大きかった)その屋上に俺と同じ年ぐらいの少女がいた。なぜ少女を見つける事ができたのかは、その日遅めの花火大会が行われていたからだ。ドカーンと音が鳴ったものだから驚いて上を見上げた時に少女に気づいた。もちろん俺は街道にいた。それなのに見えたってことは......そう屋上から飛び降りようとしていたんだ。俺が気づいたのとほぼ同時に彼女は落ちた。そのすぐあと、俺は夢中で走り彼女を受け止めようとした。だけど間に合わなかった。しかし代わりに街路樹が受け止めてくれたおかげでまだ生きてはいた。その時みんな花火に夢中で俺しか周りにいなかったもんで俺しか助けられる人間はいない!!って必死に助けようとした。いくら街路樹が受け止めてくれたとはいっても5階建ての建物から落ちたんだただじゃ済まない。俺はすぐ救急車を呼ぼうと携帯電話をポケットから出そうとすると、少女が小さな弱々しい声でこう言った。「もっと普通に行きたかった」 俺は少しの動揺があったがすぐに救急車を呼び救急搬送される彼女を見送った。その後は警察に事情聴取されたり、親にちょっとだけ褒められたりされたけど、彼女の言葉がずっと頭から離れずその日は眠れなかった。翌朝、彼女が搬送された病院に向かうと、彼女はドラマでよく見るようなマスク?みたいなの呼吸するやつ?をつけていた。あまり医療には詳しくないが、間違いなく彼女は苦しんでいた。誰かそばにいてやってほしいと思ったが親はいないらしい、身元も不明だった俺は無力感に押しつぶされそうになり、その日から毎日とはいかないけど、できるだけ彼女のそばにいることにした。1週間たっても2週間たっても彼女は目を開けなかった。しだいに彼女を助けたい、この子を幸せにしてあげたいという気持ちが強くなり進学先も医療学科があるの私立佐々木ヶ原高等学校に入学を決意したってわけ。ロマンチックだろ~。
今も彼女は眠り続けている、早く助けてあげたいその気持ちで今はいっぱいだ。そんな気持ちを抱え俺は登校した。校門をくぐったその時「うわ~遅刻~遅刻~」そんな声が聞こえた。俺にとってはいつものことだった。声の主は入学式の新入生入場のときに盛大にずっこけた神永小雪である。おっちょこちょいな彼女だが元気で明るい良い子だ。「おーいもう授業始まるぞー」彼女は時計を見て「えー!!嘘!!!」と驚く。こうやってからかってやると彼女は大慌てで校舎に突っ込む。俺も遅刻するとまずい彼女に続くとしよう。教室に入ろうとすると、騒がしい声が聞こえる。どうやら小雪がなにかやらかしたらしいが俺はそれを無視して自分の席に鞄をおろし座る。すると隣の席から声が聞こえる。「おはよう」俺もおはようと返す。このいつもおはようと声をかけてくれる男は手塚健なかなかにイケメンだ。イケメンはイケメンだが残念なイケメンだ。どうやら男子にしか興味が無いらしい、襲われないように気をつける必要がある。でもそんなこと忘れてしまうぐらいに良い奴だ。そんなことをしているぐらいにチャイムがなる。しばらくして先生がやってくる。ホームルーム長が始めの挨拶をする、俺もそれにつづく。始めの挨拶が終わると先生が「今日は大切なお話があります。佐藤将くんが先日亡くなりました。」つづく

5/20/2024, 10:15:17 AM