香草

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チョコレートについてきたネックレス。
好きな男の子からもらった髪飾り。
祖父母がプレゼントしてくれた財布。
両親が買ってくれたダイヤのピアス。
あの人がくれた指輪。
大切な大切な娘と孫。

なぜか大切だったものが浮かんではどこかに消えてしまう。慌てて追いかけようとするけど身体がだるくて動かない。
「おばあちゃん!」孫の声が聞こえた。
泣いてるの?この前あげた時計をなくしちゃったのかしら。大丈夫だから。
抱きしめてあげたいけど腕が上がらない。
大丈夫だから。おばあちゃんが探してきてあげる。
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夏の暑い朝。花束を持った青年がやって来た。
「1年ぶりだなー、にいちゃん。今年も墓参りに来て偉いねえ」
タバコの臭いをさせながら守衛が話しかけた。
「どうも。」
青年は無愛想に返事をし、足早に守衛の前を通り過ぎた。
一つの墓石の前で足を止めると花束を置き手を合わせた。青年の袖からは少し時代遅れの時計がちらりと見えていた。

11/20/2024, 11:28:33 AM