ぱちり目を覚ます知らない音
何処か楽しげに弾む曲
擦過の音はサッカーの様に
床を滑る割れた画面
知らない音が鳴っている
知っている筈の携帯から
過保護の過ぎる人達は
今度は何を仕込んだやら
誘拐犯の安否もそぞろに
静か静かに眠るふり
助けが届くその時まで
何も何も知らないふり
‹Ring Ring…›
行くのかいと問えば君は黙って頷いた。
止められないことなど分かっていた、
その優しさなら尚更に。
だからせめて君の背に、
空を逝く不帰の背中に、
誰よりも強い風を、
最期まで翔け抜ける為の
強い、強い風を贈る。
一度切りの祈りに代えて、
平穏を望んだ祈りに代えて。
‹追い風›
二人手を繋いで
買い物をしたりとか
二人机に向かって
お菓子を摘むとか
二人頭を突き合わせて
とりとめなく将来を笑うとか
そのくらいでいいから
そのくらいでいいから
せめて物語の中だけでも
ハッピーエンドにしてくれないの
‹君と一緒に›
1/8/2025, 11:29:45 AM