三日月

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これからも、ずっと

 結婚式を控えている矢先の事だった。

 僕が世界で一番愛している志穂が亡くなったのは。

 これからも、ずっと一緒に居るって約束したのに。

 それなのに志穂は·····志穂は自分の意思でこの世を去ってしまった。

 隣で笑っていた志穂の笑顔がずっと忘れられない。

 コロナ禍だし、お金が無いわけじゃないけど、先の事を見据えて、「結婚式は大々的にやる必要は無いからやらなくてイイよ!」なんて、僕のお嫁さんになる志穂は言ったよね。

 でも僕は志穂のウエディング姿が見たいと思っていたので、「結婚式は小さくてイイからチャペルで挙げよう」と提案したのは一年程前の事。

 志穂も本音はウエディングドレスが着たいという想いを抱いていたので、身内だけの式にする案に何とか賛成してくれて、準備は順調に進んでいった。

 所が、身内だけの挙式にしようとしたのが良くなかったらしい。

 結婚式を挙げる事を伝えた後から、志穂にはお金があると思ったのか、志穂の母親(小学生の頃離婚していて片親)が事ある毎に実の娘に対してお金をせびる様になったのだという。

 それを知ったのは志穂が亡くなる三日前のこと。

 半年ほど程前から志穂から笑顔が消えていていることに気付いたけど、人手不足で仕事が忙しいって説明してくれていたから、たまの休みには美味しいもの食べに連れてってあげたり、温泉に行ったりしたよね。

 暫くすると笑顔が戻って一安心していたけど、ふた月程前からどんなに手を尽くしても志穂に笑顔が戻らなくなっていた。

「今も仕事大変なの?」

「うん、人が入ると、別の人が辞めちゃうループがあってね·····それで常に人手不足!」

「大変だね、志穂は無理してない!?」

「ま、まぁね·····中々休みが思うように取れないけど、仕事は好きで働いてるか無理なんてしてないよ」

 そう言って一瞬笑ったあの時の笑顔·····。

 悔しいい!

 気付いていたら違ったのかな。

 本当は仕事だけでなくお母さんの事もかあったから、凄い大変だったんだよね、一緒にいたのに気付いてあげられなくてごめんなさい。



 


 

 








 

4/9/2023, 4:09:54 AM