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(繊細な花)
(創作です)

「はぁ〜」
「あっすいません、まだ開店準備中で……ああいやすみませんオーナー、珍しいですね」
「うんほんと店長ごめん、邪魔しないからとりあえず座らせて」
「入るなりでっけえため息つきやがってまあ」
「うっさ。お前だってこんな時間にこんなとこいて、相変わらずの不良刑事が、通報するぞ?」
「れっきとした休憩時間ですー。
って何だ、奴とまた喧嘩か」
「……」
「……」
「グラス下げますねー」
「ああ、ありがとう」
「……またってほどじゃない。あっちがへそ曲げたから一旦離れただけだ。すぐ戻る」
「あっそ。じゃ俺はそろそろ署に戻るかな〜邪魔だろうし〜」
「っ女だと! ご機嫌取りにスイーツ、とかたまにいじられてるけどっ、男ってどうなんだ……モノに頼るつもりはないが……」
「そりゃ、人にもモノにもよるからなんともかんとも」
「そもそも、どっちかが悪いとかの話なんです?」
「違うと思う、同意して欲しかったらしいのを、どうでもいいから素通りしただけなんだが……或いは言い方か……っくそ、面倒くさい」
「だいたい、嫌んなったら追い出せばいんじゃん。お前んちなんだし」
「まあまあ、そこまでじゃないんでしょうよ。
オーナーもあんまり考え過ぎないで。気が向いたら声かけてください」
「すまない」
「よっと、オジサンちょっとお花を摘みに」
「はいどうぞ」
「乙女かよ」
(立場は完全にこいつの方が上なのに、これほどまでに気にするとか、どんだけのノロケぶりだよ……犬だって食わねーどころか見向きもしねーぞ。
まっ、俺もぼちぼちトンズラこきますかね)
「さってーと、おっさん不良刑事は退散しましょうかね、通報される前に。
……頭下げるつもりなら、もう皆の前とかはやめとけ? みじめになるからよ? そん位は分かるよな? で、やっぱ解決すんなら夜なんじゃねぇの?」
「! びっくりした耳打ちすんな。
余計なこと言うな。早く戻れよ」
「失っ礼しやした〜」
「今度は営業時間内にどうぞ〜」
(やれやれ一体どっちが繊細な花なんだろな、ははっ。
せっかくだから、帰りに嫁さんに何か買ってみるかな)

6/26/2024, 9:43:00 AM