灰燼

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肌を焼くような緊張感、心を打つ神秘的な絶景、
経験したことのない不思議な現象。

あの部屋に閉じ籠もったままだったら、決して巡り合うことはなかった。こんなにも世界が美しいだなんて、知ることはなかった。
自身の脚を封じていた鎖は疾うの昔に取っ払っている。

「ありがとうって、言いたいんだけどな。」

あの子はどこにいるんだろう。あの部屋から出る勇気をくれた小さな子。

土産話を、作っておこう。たくさん。いつの日か、あの子に出会えたときのために。
君が、外の世界に連れ出してくれたんだ、って。君のおかげで世界を知れたんだ、って。

時間は呆れるほどある。

癖のように傷跡をなぞりながら、次に遭遇する出来事に心を踊らせ、新しい世界へと脚を進めた。

5/30/2024, 2:18:56 PM