街灯のない空気の綺麗な場所で空を見上げると大空いっぱいにきらきらと輝く星が見える。どの星が一等星かも分からないくらい全部の星が強い光を放っている幻想的な景色は日々の生活の中でふとした時に思い浮かべる漠然とした不安を忘れさせてくれる。自然セラピーというやつだろうか。
幼い時は星を見るために空を見上げることはほとんど無かったし、星を見る事で忘れられるような悩みや不安も持っていなかった。それくらい毎日が輝いて見えた。
星空が霞んでしまうくらい幸せだったあの頃、全てが楽しかったあの時期に戻りたいと思ったことは何度もある。もっと苦しくない生活がしたい。だけど、今見上げているこの空が以前よりも綺麗に見えるのは今生きているこの瞬間がどうしようもなく真っ暗で終わりの見えない闇の中だからなのだろうか、そう思うともっとこの景色を目に焼き付けておきたいと思う。
はやくこの地獄から解放されたい。その時自分はまだ星を見ることが好きなのだろうか、好きであって欲しい。
まぁそんなことを思ったって、今見ている星々は例えいつか空を見上げなくなったとしてもずっとそこで輝き続けているんだろう。自分が空を見なくたってあの時もこれからも全く同じ空がそこにある。過去の星空を見ないで良かった自分に羨ましさを覚え、いつか来るかもしれない自分が見ていない星空に悔しさというか儚さというか複雑な何かを覚える。だから今この綺麗な空を見上げる。
大空
12/21/2024, 2:38:49 PM