満天の星空の下に青年が二人、
芝生に寝転んで空を見上げていた。
他に人は居ない。二人だけがそこにいる。
ふたりだけの、秘密の場所。
「やっぱここから見る星は綺麗だねぇ」
「そうだな」
二人はそれきり言葉を交わさない。
でも気まずい空気が流れている訳でもなくて。
むしろ、隣にいるだけで安心できるような、
そんな空気が流れている。
「ねぇ、いつき」
1人の青年がふと口を開く。
「なんだよ」
「いつきはさ、これでよかったの?」
いつきと呼ばれた青年は、何を言っているのか分からないという顔で青年を見た。
「何の話だよ」
「だって、今日で終わっちゃうんだよ?世界。
最期は恋人とか、大切な人と過ごさなくてよかったの?
それか好きなところに行くとかさ」
青年は心配しながらも少しからかうように問いかけてきた。しかし、その表情は不安そうで、どこか寂しそうに見える。
いつきはため息をついたあと、めんどくさそうに答えた。
「俺に恋人はいねぇし、お前以上に最期に会いたいやつも、ここ以上に最期に来たい場所もねぇよ。言わせんな。」
「……そっか、ならいいや」
青年は安心したような顔をして、微笑む。
青年はそれを見て、恥ずかしそうに顔を逸らす。
ふたりはまた、星を眺める。
「なぁ、れい」
「なぁに、いつき」
「来世でも友達でいような」
「もちろんだよ」
地球最期の刻まで、あと……
『二人ぼっち』
3/22/2024, 6:47:39 AM