anago.

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【僕たちに何があっても、ずーっと愛してるよ。】

なんて安っぽいのだろう。同じような言葉を別の人間に吐いている男が?それとも、純粋故にこの男に騙されていることも知らず、頬を染めている女が?
馬鹿馬鹿しい。人間の一生に永遠など存在しない。
死を迎える。それは生物として生きている限り必ず起こることだ。
目の前の画面では既にクライマックスを迎えている。いつ見ても吐き気がする最期だ。
永遠を夢見て、寝室に女を誘う。
【今日は君と一緒に寝たいんだ。....ダメかな?】
そうして浮かれた女は巣に捕まり逃げられない。
無抵抗の女を押し倒し、キスをする。一瞬のうちに白いシーツが赤く染まっていく。苦しむ程の痛みと怒り。それらが混じった顔で死を迎える彼女の姿は、微笑む男と相まってとても気持ち悪い。
最初は何が起こったか分からなかった。男が同じ手口を使って女を撃ち殺していること、__この場面を俺に見せるため、自前のカメラで中継していることを。

画面が切り替わったタイミングで部屋の扉が開く。
「ただいまー!...ちゃんと見てた?」
椅子に座っている俺を背後から抱きしめる。女物の香水と微かな血液の匂いが混ざりあっている。
「今回の女は厄介だったんだよ。ずーっと君に付き纏ってたから妨害のために話かけに言ってたの。そうしたら僕を好きになっちゃってさ!尻軽な女はダメだね〜。
その点では君を選んでよかった!一途最高〜。」
ぐりぐりと自分の匂いを擦り付けるようにマーキングされる。こいつが帰宅してからのルーティーン。ブツブツと呟く姿は完全に不審者である。
俺はこいつに衣食住を握られている。移動するにしても1人で歩くことは禁じられている。食事、排泄、風呂もだ。
性欲を満たすこともそのうちに入っている。

今日は人を殺めた。ハイになっているから1日コースだ。
ひとしきり満足したこいつに、椅子から持ち上げられベッドに下ろされる。


「ねえ、ずーっと一緒にいてね。死ぬ時は一緒だよ。」
不意に喋った男の顔は何故か泣いているような気がした。

俺は、いつになったら解放されるのだろう。
そう考えながら、近付く顔から逃げるように目を閉じた。

10/27/2024, 7:18:51 AM