テーマ『遠い約束』
「約束しよう。僕はこの国を変えてみせると。だから、協力してくれないか?」
そう友に語ったのはいつだったか。酒が旨かったのを覚えている。
「貴方の頼みなら、喜んで」
そう言って、友は微笑んだ。
「最期に言い残すことはあるか」
処刑人が剣を構える。今のが、走馬灯というのだろう。
「いいや。ひと思いにやってくれ」
キツく縛られた手足が痛い。この国のために、と奔走した男の最期が処刑か。世の中そう上手くはいかないな。
あの日友と交わした約束は、果たせなかった。向こうに行ったら怒られそうだ。
空を見上げる。秋の澄みわたった空。そこへ剣が視界に入り。
振り下ろされた。
4/8/2025, 11:06:20 PM