「『閉ざされた教会』、『閉ざされた日記』、『繋がらないLINE』。なんか分断系お題はこれまで複数回あったみたいだな」
まぁ俺がこのアプリを入れた頃には、「閉ざされた教会」はもう別のお題に差し替えられてたけど。
某所在住物書きは過去を確認しながら、ぽつり。
隠された手紙、だそうである。
「◯◯が隠された!手紙にヒントが書かれてる」とかにすれば、隠す対象を手紙ではなく、別のものにできるかもしれない。
なおそっちのネタを考えた物書きは最終的に諦めた。手紙ではなく、じゃあ、何を隠せというのだ。
「投稿作の誤字は隠したことがある」
白状する物書きは、時折過去投稿分を読み返して、誤字脱字をサイレント修正している。
――――――
隠された、学校からのお知らせのハナシなら、実体験としてネタがある物書きです。
隠された、ゲキムズ実績解除のハナシも、よくよく思い出のある物書きです。
隠された「手紙」のお題ということで、こんなおはなしをご用意しました。
最近最近のおはなしです。都内某所のおはなしです。某稲荷神社敷地内の一軒家で、人間に化ける妙技を持つ化け狐の末裔が、家族で仲良く暮らしており、
そのうち父狐は都内の病院で、漢方医として勤務して、働いて納税しております。
稲荷の狐は人間の風邪などほぼ引きませんので、
インフルエンザが流行しても、マイコプラズマ肺炎が流行しても、へっちゃら。
感染症で倒れていく他の医療従事者さんの代わりに、診察したり書類書いたり、処方箋を出したり、
朝から晩まで、人間の感染症が流行する時期は特に頑張って、ときには2徹3徹して……
と、いうハナシはまた別の機会。
今回は手紙のおはなしなのです。
というのも最近、魂のニオイがすごく妙な、独特な、不審な患者が、父狐の漢方外来に来るのです。
まるで「こっち」の世界の住人ではないような。
日本人のコスプレをした、異世界人のような。
「異世界」の相談といえば、過去作前々回投稿分に登場した「世界線管理局」の出番。
別の世界から違法に密航してきている人が増えてるんじゃないかと、
管理局の法務部の、特別に他部署の許可も決裁も後回しで即応が許される、特殊即応部門に相談。
調査の結果はお手紙で、こっそり秘密裏に、貰うことになりました。
そうです。
この秘密の手紙が、隠されてしまうのです。
犯人は父狐の子供。愛しい愛しい末っ子でして。
「久しいな。子狐」
世界線管理局の局員さん、調査結果を届けるために、父狐のおうちへ来ましたが、
お仕事中だったらしく、末っ子子狐が対応します。
「この手紙を、お前の父親に渡してくれ」
「おてがみ、おてがみ!」
コンコン子狐、お手紙を持ってきてくれた局員さんが大好き!だって遊んでくれるのです。
「おてがみ、ととさんに、わたす!」
お耳ペタン、尻尾ぶんぶん!
局員さんから受け取った、大事な大事なお手紙の、
香りをかいで、ゴシゴシ体をすりつけて、
お手紙の上に、横っ腹をぺたり!
完全に寝そべって、隠してしまって、その上でお昼寝など始めてしまったのでした。
「頼んだぞ。無くさず、盗られないように」
とられるもんか!コンコン子狐、自信満々。
だって大事な手紙は、子狐のおなかの下。
モフモフ毛皮で見えません。
で、お題回収。
コンコン子狐の下に隠された手紙を、72時間耐久勤務してきた父狐が見つけられないという。
「管理局のひとが、調査結果を持ってきてくれたらしいけど、どこだろう」
人手不足を狐のチカラでサポートしてきた父狐。
緊張の糸がプッツン切れて、頭が全然働きません。
「おかしいな、おかしいな……」
まさか、誰かに調査を気付かれて、盗られてしまったんじゃないか。
まさか、違法渡航を支援してる組織が、神社に来たんじゃないか。
徹夜で考えがまとまらない父狐、それでも不安で不安で、ともかく不安で仕方ありません。
「いちおう、かんりきょくのひとに、れんらく、」
もしもし管理局さん、法務部執行課実動班の、特殊即応部門をお願いします。
そこまで連絡したものの、眠くて、眠くて、かっくりこっくり、ぐぅすぴぃ。
『はい。執行課実動班、特応部門』
連絡したい相手に繋がった頃には、完全に寝落ちてしまっておりました。
『おい、どうした、おい?』
子狐が手紙を隠して昼寝してしまったために、
管理局の局員さん、せっかく局に帰還したのに、また稲荷神社まで来るハメになりまして。
そこから先は、文字数、文字数。
まぁまぁ、色々あったとさ。 おしまい。
2/3/2025, 3:55:31 AM