「私とあなたじゃ住む世界が違う 第八十一話」
「スノーさん、本当にパズルを離脱しちゃったんだね」
キトンは私服姿のスノーを見て言いました。
「あの時は仕方無かってん」
「スノーさん、これからどうするんですか?」
スモークは、スノーに聞きました。
「うーん、私服じゃまともに戦えんし…かと言って、仲間の大半は二次元国やから会えるかどうか分からんしな……」
スノーは、考えていました。
「……なぁ、正式にお前らフロンティアウォーカーの仲間にしてもろうてもエエか?どの道、パズルは破門やし、行き場があらへんからな」
スノーは、フロンティアウォーカーのメンバー達にお願いしました。
「良いですよ。僕達と共に冒険しましょう」
スモーク達は、快くスノーを迎えました。
「…スマンな。オレの願い、聞いてもろて」
スノーは、正式にフロンティアウォーカーのメンバーになりました。
一方、林檎王子達は、全員集まって会議を開いていました。
「ううっ……俺以外、全員私服だよぉ…」
ガーネットは、涙目になっていました。
「まぁ、僕は警察官の制服ですけどね」
「ラピス、戻って来いやー!」
ガーネットは、ラピスの胸ぐらを掴もうとしました。
「ガーネット、止めなさい!」
「それもこれも全部、セラフィのせいだー!」
アメジストは、暴れるガーネットを制止しました。
「ガーネット、それぞれの事情って物があるぞ」
「別の目的が出来て、脱退する予定だったって人も居るだろ」
「僕は、流星部隊に入ったから、林檎は卒業ですけど……」
「メンバー全員が脱退を考えているってことは、林檎は実質解散だろ?」
アンバーとローズとラピスとシトリンは、次々に脱退や解散を示唆する事を言いました。
「俺は、脱退なんて考えて無いぞー!もう一度、林檎王子作れば良いだろぉー!」
ガーネットは、涙目でした。
「ガーネット、もし、もう一度結成するとしても、ラピスが脱退したから5人になりますが…宜しいですか?」
アメジストは、ガーネットに説明しました。
「ヤダ!6人が良い!」
一方、スノーは、遠くの方で様子を見ていました。
「あーあ、ガーネットのヤツ、駄々コねまくっとるな……パズルに置き換えると、アレは絶対スカイやな。俺の時も、モメるのは必須やな…」
「スノーさん、少し良いですか?」
ラピスは、スノーの所に来ました。
「貴方のお陰で、転職する勇気が出ましたよ。こうして、夢を叶える事が出来ましたから!」
「夢って、林檎の脱退か?」
「警察官になる夢です。貴方が脱退するって意思表示したから、僕も一歩を踏み出す事が出来ました!」
「…良かったやないか。オレはちょうど、あのグループ抜けて旅に出よう思ってたからな」
「旅って、カッコイイですね!」
ラピスは、目を輝かせていました。
「コレからは、オレ達は自由や。それぞれ、夢叶えたんやからな」
「第二の人生、スタートですね」
スノーとラピスは、心からの笑顔でした。
志那とカインドは、憩いの場の様子を見ていました。
「……カインド、本当にスノーさんを仲間にして良かったのかな?」
志那は、カインドに聞きました。
「良いんじゃないか?スノーさんは、フロンティアウォーカーに入りたいって言ってるしな」
「パズルの人達、どう思うんだろう…?逆恨みが怖いとか無い?」
「……あ、スカイさんは、拠点に残ったままだったな。他のメンバーは二次元国に行ったけど…」
カインドは、スノーと一番仲が良いスカイの事を気にしていました。
「スカイさん、一番仲が良いスノーさんが脱退したワケだから…」
「スカイさんにどう説明するかだな……」
二人の会話をこっそり聞いていたガーネットは、
「スノーと一番仲が良いスカイを連れて来れば、考え直すかも!」
パズルの拠点がある2.5次元国に向かいました。
志那とカインドの所にアメジストが来ました。
「志那、俺の頼みを聞いてありがとうございます。お陰で全員助ける事が出来ました」
「ほとんど、アメジストさん達の力じゃないですか…」
「君が居てくれたから解決出来た事も多いんですよ」
カインドは、二人の会話を聞いていました。
「…俺、お邪魔か?」
アメジストは、志那に
「そろそろ、志那を現実世界に返そうと思います」
と、言いました。
「あ…お別れか…」
「ちょっと待って下さい」
突然、志那の目の前にターキーが現れました。
「男に戻って、僕と戦え!」
ターキーは、志那に勝負を挑みました。
「男に戻るって…無理だよ!私、女だもん」
「あの興奮と感動が忘れられない!」
「志那、コイツとは俺が戦う」
ターキーとカインドは、戦闘態勢に入りました。
「本当はあの少年と戦いたかったんですけどね…」
「お前の相手は俺で十分だ」
カインドは、闇覚醒を使ってマーリドを召喚しようとすると、体に異変が起きました。
「ウッ、マズいな…ウワァァ……!」
「魔物化か?」
カインドは魔物化して、ターキーはカインドを攻撃しようとしますが、制止出来なくなる程強力な魔物にターキーは押されていました。
「一気にトドメを刺しますか」
ターキーは、カインドを一撃必殺しようとすると、カインドはどこかへと飛んで行きました。
「ウワ、逃げましたね…」
「カインド…」
志那は、カインドの方を見ていました。
「あの方角だと、夜月島の方角に逃げましたね」
ターキーは、カインドの後を追いました。
「夜月島?」
「空島の事ですよ。空に浮いている島の一つです」
アメジストは、志那に説明しました。
「志那、コレからは危ない戦いになります。一般人の君を危険に巻き込みたくありません」
アメジストは、そう言うと現実世界への入り口を開けました。
「仲間達を助けてくれて感謝しています」
アメジストは、志那を抱き抱えてホールに入れました。
「ちょ、ちょっと!」
志那は、現実世界に帰りました。
「……え?」
志那は、公園に居ました。そして、スマホを見ました。
「全然、時が進んでない。アレって、夢…?」
現実世界は、志那が空想の世界に入った時の時間でした。今までの事が嘘だったかの様な……
―完―
4/11/2023, 10:41:03 AM