霜月 朔(創作)

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お祭り


今日は街の夏祭り。
夜には真っ暗になる街の広場も、
今夜は屋台の明かりが灯る。
沢山の見物客の声と祭囃子が、
祭りの夜を更に盛り上げてる。

だけどボクは。
部屋のベッドに寝転んで、
風に乗ってくる愉しげな声を、
聞いてる事しか出来ない。

ボクが元気だったら、
皆とお祭りに行けたんだろうな。
あーあ。
りんご飴食べて、盆踊りしたかったな。

そんな事を独り言ちてると、
不意に部屋のドアが開いて、
お祭りに行った筈の友達が入ってきた。

そして。
体調が悪いのだから、
これで我慢しなさい、と。
紫色の可愛いヨーヨーと、
大きくて真っ赤なりんご飴を、
説教付きでボクにくれた。

きっとコイツだって。
他の友達と、お祭りをもっと、
楽しみたかった筈なのに。
ボクの為に、途中で帰って来たんだ。

でも、ありがとうって、
素直に言えなくて。
ボクは、態とぶっきらぼうに、
病人にりんご飴とか、どうなんだよ。
と、文句を言って、
赤くなった目を隠す様に、
りんご飴に齧り付いた。

7/28/2024, 3:57:56 PM