「通り雨」
新人「愛のスコール復刻版ですが、アレきりのネタ発売だと思ってたらまた桃味で復刻してましたよ。」
部長「お前そういうどうでもいいコンビニラインナップよく覚えてんな」
新人「おやつは生死をわけますから。」
部長「生死を分けるとまで言い切らずとも」
新人「部長。ここはイマジンで。我ら山岳研究会がスコールと高橋一生アルフォートとカロリーメイトフルーツ味固形を携えて南アルプスへちょっくらハイキングへと洒落込んだところ、空模様が怪しくなり、俄かに天空かき曇り、辺り一面灰白色の嫌な黄色がそこここに目立つばかりの真昼の曠野。とても生きて帰れる気がしない遠くから熊の雄叫びが聞こえてくるああこんな雑にリュックひとつ担いで南アルプスなんて来るものじゃなかった…と永遠に己の愚鈍さと無力を悔やんでも現実は変えられない。」
部長「そこまで妄想が悲観するのか?」
新人「そこでふと背中でぐっしょり濡れるリュックの中の高橋一生アルフォートバニラ味を取り出してひとつ取り出し、舌の上に乗せる。この時点でまだ食べない。
舌の上にバニラ味のアルフォートがあるなあ、つまり、まだこの時点で物理的暴力以外で死ぬことはないと確認して、次なる行動のためにゆっくりと、口蓋を締め、湧き出る生存本能から出る唾液により口中のアルフォートバニラ味はほろほろと解けて何かクッキー種のような何かに変じて最終的には胃袋に還元される。」
部長「やめろその妙に生臭い食レポ」
新人「胃袋に到達したアルフォートは速やかに糖分へと変換され、血中へと溶け込み、生物の本能として食ってる間はまあ死なねえという判断を脳が下し、一瞬にしろパニックは治る…」
部長「わかった。お前にとってオヤツがどれ程大事なのかはわかったからもうそれやめてくれ。俺が悪かったよ。」
(今回土曜でスタッフはそれぞれに散らばり、幕は矢張り引かれず、板の上で茫然とアルフォートを爆食する新人を眺めている部長であるが、ふと思い立ってスコールの蓋を捻り、新人に差し出す。)
部長「水分も摂りなさい。咽せるから。」
了
9/27/2024, 10:02:41 PM