〜世の中には自分にそっくりな人が3人は存在するという〜
さっきから、向かい側の座席から視線を感じる
今まで感じたことの無いほど、まさに突き刺さるような感覚の視線だ
座席に腰を下ろすと同時に昨夜のドラマの視聴をスマホに食い入るように集中していたから今まで気が付かなかったのか、ついさっきからその視線が送られて来たかは分からない
ただ、その集中を遮るほどの強さなのは確かだ
その視線の先を辿りたい気持ちは山々だが、それを確かめる勇気も無い気がした
しばらく無視し続けたものの、今度は「顔を上げろ、顔を上げろ」とのテレパシーが送られてくる様な気配にもう抗えず、思い切って顔をあげた
「あっ!!」
と、その視線の主と同時に思わず大きな声をあげてしまった
そこには自分がいたのだ!
正確には自分と同じ顔の別人がいた
髪型や服装はまったく違う雰囲気だけれど、顔はまったく同じ
「そ、そんな… 何で? どういう事!?」
その人も同じ様なことを呟いたことは口の動きで分かった
電車は混んでいるほどではないものの、チラホラ立つ人もいたが、誰もその二人の衝撃には気付いていないようだった
というより、皆スマホに目を落とすか寝ているかで、誰も人のことなど気にしていない
(世の中に似た人がいるとは言うけれど、これはそんなもんじゃないよ!
似てるじゃなくて、同じだよ!?
パパがどこかで作ったとか? でも、それだったらママが違うから同じにはならないよね…)
などと、真面目だか不真面目だか分からない疑問が次々に湧いてくる
(あちらもきっと、同じようなことを考えているはずだ
話しかけてみようか…
いや、でも何て?
グズグズしてたら駅に着いちゃうし…
もし、このまま知らん顔して別れてしまったら絶対に後悔というか、このことが頭から離れないよね)
そう思いながらもう一度その人を見ると、あちらも意を決したように立ち上がった
「あの…」
(来たか…!)
そんな物語が頭を駆け巡りました
続きのお話を書き上げて、どこかで載せたいと思います(笑)
『巡りあえたら』
10/4/2024, 12:40:55 AM