香草

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「空に向かって」

ピピピッ、とアラームが鳴った。
手探りで止めて布団の奥底に潜り込む。足がベッドからはみ出てヒヤリとした空気に触れた。慌てて足を引っ込める。
急激に冷えた足を温めながら寝やすい姿勢を探ったが、息苦しくなってとうとう布団から這い出た。
カーテンからは色のない光が漏れていて今日の天気が曇りか晴れか分からない。
僕はコーヒーメーカーのスイッチを押した。
無音の部屋に無機質な音が流れて、ようやく部屋全体が眠りから覚めたようだ。

今日はゴミ出しの日だ。
コーヒーが出来上がるまでのこの時間に出してしまおう。朝からゴミ袋を触るのは朝の清らかにスタートしている自分の身が汚れそうで若干憂鬱だが。
少し重い気分でつっかけを履いてドアを開けた。
強い光がまだ半分寝ている目を攻撃した。
今日は晴れだったか。
空は春の霞がかかっているようで、天高い真っ青ではないが、雲ひとつない。
ゴミ袋を片手に空を見上げた。

つい昨日始まった新生活と相まって気持ち清かにエネルギーがみなぎってくる。
よし!頑張るぞ!
空に向かって気合いを入れて、ゴミ袋を揺らしながら歩き出した。

4/2/2025, 10:58:17 AM