(※二次創作)(欲望)
僕の人生は欲望に満ちている。
まず、金が欲しい。
一にお金、二にお金。先立つものがないと何も出来ない。新しい種だって買えないし、先の収入も途絶えてしまう。この街の人たちはいい人ばかりだけど、流石にお金を直接くれたりはしないだろう。あ、そういや雑貨屋にはツケでやりくりしてる人たちはいたな。うん、その手があるかも?
次に、いい道具が欲しい。
最初からあるボロの農具でも、そりゃ、畑仕事は出来るよ?出来るけど、ちょっと耕すだけでくたびれるし、じょうろだってすぐ空っぽになる。ちょっと大きな切り株や岩となると太刀打ちできなかったり……道具を鍛えるのには鉱物もいるんだよな。
そうそう、体力だって鍛えたい。
頑張って畑耕すじゃん?収穫するじゃん?道具を鍛えるじゃん?でもお昼になる頃にはへとへとじゃあ、一日がもったいなすぎる。もちろん、ミネラル医院でちからでーるやつかれとーるを買えば済むけど、そんな薬漬けな人生は嫌すぎる。
それまで静かに僕の話を聞いていた女神さまが、ようやっと口を開く。
「ほんっっっっと、ピートちゃんって夢がいっぱいあるのね」
「夢?」
僕は驚いた。そんな滅相もない。僕が今言ったのは、すべて、ドロドロで打算に満ちた欲望だ。夢なんてのは、もっとキラキラしていて、僕を成長させてくれるような、そんな尊いものであるべきだ。
「で、他には?」
何が欲しいの?と促され、僕は答えた。
「愛も欲しい」
「愛?」
「そう。愛」
僕には好きなコがいる。宿屋のランちゃんだ。いつも明るくて、よく笑い、よく食べる。料理の腕もかなりのもので、いっぱい出荷できた日は、彼女のご飯を楽しみに宿屋に顔を出すんだ。そのうち、毎日僕のご飯を作ってくれたらな、と思うようになった。それに、ランちゃんのためなら僕、どんな大変な仕事でも頑張れる気がする。
「お金、道具、体力、ランちゃん……僕の欲望は、留まるところを知らないのさっ」
「はいはい」
女神さまは少し呆れていた。
3/2/2024, 7:33:56 AM