シンビジウム

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【微熱】

微熱みたいな恋だった。

教室の真ん中で笑う貴女に、教室の隅で教科書を開く僕が恋に落ちた。
ふわりと花が開くように笑う姿に、惹かれた。

貴女のことが知りたい。
教科書を読んでいるフリをしながら、横顔を眺めるのが習慣になった。

友達とお弁当を食べる姿。
テストの結果を見て落ち込む姿。
部活を真剣にする姿。

どの瞬間を切り取っても、大好きだった。
でも、勉強しか取り柄のない僕が貴女に近づける訳がない。
雲の上の存在だった。

告白する勇気が、僕にあればよかったのに。
成功するとは思っていなかったけれど、後悔することはなかっただろうに。

数カ月後、一つ上の先輩と付き合い始めたと風の噂で知った。
                       fin.

11/27/2024, 8:41:11 AM