》神様が舞い降りてきて、こう言った
ごめんね、やっぱり駄目だったみたい。
そう言ったあのひとは、立ち尽くすだけの私の頭を優しく撫でて地に落ちた。足元で骸となったひとはもう、何の言葉も与えてはくれない。
あのひとは誰よりも優しく、何よりも美しいひとだった。争いを厭い、悲しみに寄り添うひとだった。
もし、この世界に神様とやらがいるのなら、それはこのひとのようなものなのだと、誰もが思うようなひとだった。
だから人は、あのひとを神にした。
献身を利用し、人を神として本物に刃を向けた。
──その結果がこれだ。
雷に灼かれた大地に音はない。あのひとが愛した世界は、こうも愚かであったのかと嗤ってしまう。
嗚呼もうじき私を迎えに奴らが来る。使いどもの羽音は喧しくていけない。
もう少し静かにせよと天を仰いだ時、こちらを見下ろす作り物めいた顔が微笑んで、真白の腕が差し伸べられた。
「帰りましょう。私の愛しい子」
7/27/2024, 3:10:02 PM