有里

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 よく晴れた朝、僕は海に向かって歩いていた。

 終わりの見えぬ勉強に嫌気がさして、衝動的に家を飛び出してきた僕は、最近冷たくなってきた風を感じながら、黙々と歩いて行く。
 海の前に立ちはだかる建物の薄暗い間をぬって歩いて行き、曲がった途端、僕の目の前にぱぁっと海が広がった。
 突然の眩しさに僕は目を細めたが、目の前の光景を捉えると、大きく目を開いた。

 海はとても美しかった。

 海面はきらきらと日の光が反射し、海の向こうに佇む島々の緑がこれまでに鮮やかに見えた。
 終わりなく見渡せる目の前の美しい光景に感動しながら、僕は心の隅で呟いた。

 僕の将来もこれくらい見渡せればいいのに

 ……我ながら、厨二病臭いセリフに笑いそうである。
 僕は、海に背を向けた。将来を見通すためには、不確実でも、努力して行くしかない。
 僕は、再び勉強の日々に戻っていった。

《題:秋晴れ》

10/19/2023, 8:45:24 AM