なんでそんな話になったか覚えてないが、君と腕相撲することになった。
君はにやにやしながら腕をぶんぶん振り回して、秒で倒すぞぉなんて言っちゃって楽しそう。
「お手柔らかに」
俺は肩をすくめて怪我しないように祈りつつ手首を回す。
そう…可愛いものきれいなものが好きな君は、実は格闘技や身体を鍛えることなんかも大好きで、ほぼ毎日楽器を弾いてもいることもあってはっきり言って俺より力は強い。
だから正直腕相撲なんて君が勝つこと間違いなしなわけなんだが、いやマジでなんでやろうってことになったんだっけ。
テーブルに肘をついて、君と鼻がくっつくほど顔を寄せて、手を合わせる。
ぎゅーと力を込めて握り合って、さて勝負。
…さっき君の方が力が強いって言ったけど、でもこの腕相撲は俺が勝ちそうだな。
手を握るくらいで顔を赤くする君にはね。
(腕相撲やろうと言った時点でそれに気づかない可愛い君)
▼力を込めて
10/7/2023, 10:20:08 PM