題 最悪
最悪!嫌い!彼氏なんてっ!!
大っきらい!
私は心の中で思い切り叫ぶ。
明日のデート、急に理由もなくドタキャンされた。
明日行けなくなったってそっけないメール一通。
それで音信不通。
何通メールを送っても帰ってこない。
私の心は荒れてた。だって、明日のために、新しい服を買って、アクセサリーも合わせて選んで、持ち物もカバンも準備して、楽しみにしてた。
だから、メール一言でキャンセルなんて、許せるはずなかった。
悶々としながらベッドにあった枕を壁に投げつけて発散する。
そのまま・・・夜になって・・・。
夕飯を食べて、やけになって眠ってしまっていたみたい。
見ると彼氏から着信が何件か来てた。
ふんっ、今更なによ?
と意地悪な気持ちになるけど・・・。
もしかして、デート行けるようになったのかも?とちらと思って、電話をかけ直す。
「もしもし、ナツホ?」
彼氏の声・・・なんだか・・・。
「具合悪い?」
私は彼氏の声を聞いて、すぐに聞く。
「あ、うん、ごめん。昼は熱すごくて、メールするのやっとで・・・今ようやく少し動けるようになったから」
私はその弱々しい声を聞いて、自分のバカ、と思う。
彼氏はずっと具合悪かったんだ。電話して確かめればよかった。
あ、でも、具合悪いんじゃ、出られないか・・・。
「そっか、大丈夫?電話してて」
私は彼氏に聞く。ゴホゴホ咳が出てて苦しそうだ。
「ごめんな、明日のデート楽しみにしてたの知ってたのに」
私こそ、ごめん、と内心で思う。彼氏の事情も分からず責めてた。
「ううん、いいよ、具合悪いならゆっくりやすんで、また今度いこう。良くなるまでじっとしててね」
私は彼氏にそんな言葉を投げかける。
懺悔の意味も込めて優しく言う。
「ありがとう、優しいなナツホは」
彼氏の言葉に、あ、うん・・・さっき散々罵ってたから
という心の声はもちろん表には出さない。
「気にしないで、じゃあ、悪くなるといけないし、切るね、おやすみ」
私は彼氏のお休みの音声を聞いて、電話を切る。
「早とちり〜」
バフッとベッドに倒れ込むと同時にそんな言葉が出た。最悪なのは私だった。
彼氏を責めちゃってたな。
今度会う時はうんと優しくしよう・・・
私は天井を眺めながら密かにそう決意したのだった。
6/6/2024, 12:08:26 PM