初心者太郎

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—霜降る朝の教室で—

通勤中、小学校に植えられている草木に霜が降りていた。最低気温が一度と天気予報で言っていたのを思い出した。

職員室で朝の授業準備を終え、教室で子どもたちを待つ。

「おはようございますっ!」

一番乗りで走ってきた男の子に、私も挨拶を返す。

それに続いて教室へ次々と子どもたちが入ってくる。教卓の下に置かれた椅子に座って、みんなを見ていた。

みんな元気そうだ。

実は最近まで、インフルエンザが原因で学級閉鎖になっていた。それが嘘のように今は活気を取り戻した。

「先生見てください!」教室内にいた男子が声を上げた。

教室の後ろの扉から、五人の子が一人の男子を囲むようにやってきた。

「今日もユキト、半袖短パンです!」

私は頷いて返した。
彼は寒さに強い子どもだ。一年中あの格好をしている。
だが、周りに人が集まるのはそれだけが理由じゃない。

教室内にいた全員が手を止め、男女問わずユキト君の元へ駆け寄る。彼の体に手を触れようと、ぎゅうぎゅうに寄せ合っている。

彼は寒さに強いだけでなく、カイロのように温かいらしい。
私は必死に子どもたちを引き剥がし、朝の支度をするよう促す。

私はこのクラスでインフルエンザが流行した理由を、コレだと睨んでいる。
しかし、ユキト君は一度も学校を休んでいない。本当に無敵だと思う。

そんな彼の体質が、私は正直羨ましい。

お題:霜降る朝

11/29/2025, 2:01:12 AM