『宝物』
「...」
昼休みに校舎裏にある穴場でスマホと睨み合う。
最近気になる子とついに付き合うことができてはや半年。
思った以上にことがよく進み彼女ともより
交流が深まっていって幸せな日々を過ごしている。
ただ...気になるのは頼っていい、
甘えていい境界線がまだ分からないところだ。
もちろんそういうのはお互い話し合ったり
長い時間を経て相手を知ればわかるものだろう。
そして相手にそれを聞こうか今迷っているところだ。
文章はできている...あとは送信するのみ...
「何してるの?」「わっ!!」
急に彼女に声をかけられびっくりして体が跳ね上がる。
その拍子に送ってしまったのか彼女のスマホから
通知音がなる。
「ん?君から...?」
彼女はスマホを取り出し俺が送ってしまった文章を
じーっと見つめる。
「ふーん。そんなこと考えてたんだ。」
彼女はニヤニヤしながら俺の顔を覗き込む。
「照れてる?可愛いね。私はいつでも大丈夫だから
遠慮なく言ってね!」
俺の反応を見て満足したのか彼女は笑いながら答える。
こうやって相手に気を使わせないように言えるところが
さすがだと思う。
「じゃあ、今度2人きりの時にお願いしようかな。」
そういうと待ってましたと俺より喜ぶ彼女。
彼女の笑顔に心臓は跳ね上がる。
本当、彼女は大切にしたい...
誰も彼女に見せたくないし触れられたくもない。
同じ空気を吸わせたくない。独り占めしたい。
...俺の大事な宝物。命に替えても守り続けたい存在。
語り部シルヴァ
11/20/2024, 10:51:41 AM