たまには
「ねえ、たまにはさ…
…毎日がんばってるんだから、どっか行かない?」
貴方は笑う。
それが、貴方の口癖だった。
「…だから、大丈夫だってば。」
そう私は、呆れた顔でそちらへと振り向く。
彼女はいつもそうだった。
私より苦労しているくせに、私より賢いくせに、毎日毎日へらへら笑っては私の心配をする。
私以外にも友達がたくさんいるくせに、私の元にばっかり来る。
そんな、まるで天使のような貴方が……
好きだった。どうしようもなく。
……私のそんな想いも知らず、貴方はいつも、私を外へと連れ出した。
二人きりで行った海だって、
学校を抜け出して行った遊園地だって、
どれも夢のような、かけがえのない想い出で。
「…ねえ。たまにはさ…
…現実のわたしにも、会ってあげたら?」
嫌だ。 嫌だ嫌だいやだ!
夢から醒めたら、私のことなんてすぐ忘れるくせに。
それでも、貴方はただ笑う。
目を見開く私なんて気にもせず、ただ、寂しそうに。
3/6/2026, 9:10:52 AM