心の迷路
今日もまた、ぐるぐると囚われて同じ場所を繰り返す。この繰り返しに意味が無いことは分かっているのに、休まない夜に今日も縋り付く。
「うん。嫌いちゃうし、別にええよ。」
一世一代の告白をタバコの煙が燻る奥で了承されたことには微妙な気持ちを抱えたが、ギリギリ嬉しいが勝ってしまったのが問題だった。いつも通りの軽い受け答えがあった後、あれよあれよという間に家に居着くようになった。出掛けるのはギャンブルかコンビニだけ。直接言い出してはこないけど、やたらとスキンシップが増えて甘えてきたら金欠のサイン。
スタートは明白だったが、ゴールは一生見えない。まるで罠に自分からハマりに行った哀れな動物だ。いっそ、そのまま処分されてしまえば楽なのだけど。働くために生かされ、離れることは叶わず、また今日も迷路で一人彷徨う。こんなに悩んでいるのを露知らず、すやすやと息を立てるその綺麗な顔を見ながら過ごす夜を、あと何回過ごすのだろうか。一生日の光を浴びることなく彼と過ごす夜が続けば、嫌いじゃないが好きに変わる日が来るかもしれない。そう考えてしまっては今日もゴールを探すことを放棄する。
11/13/2025, 10:09:04 AM