れい

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ー灯火を囲んでー


「さむくないのか?」

彼はそう言うかのように見つめてくる
静かでくらいこの月夜に溶け込む彼に
わたしはつぶやく様に話す

「大丈夫だよ心配かけちゃったね」
「今戻るよ」

ついてこいと言わんばかりな彼の後をついていく

たまにちらっとこちらを見る彼は口を開かないが
きっと私がついてこれてるか心配なのだろう
彼はくらいところでもある程度目が見えるから
私とは違うなとひしひし感じる

冬の森の凍りついた澄んだ空気が息をする度ツンと響く
冷たく優しい風が木々の合間から流れ頬を撫でる


寂しくて冷たくてけどそれが暖かくて離れたくない
そんな冷たさ自体に心地よさを感じてしまう

灯火を囲んだときの温もりは決して焚き火より暖かくはない
それと同じ何事にも代え難い冷たさは私にとって何よりも心地良い暖かさがある
彼は館へつくとゴロゴロと喉を鳴らして
「ついてこれて偉い」
とでも言うかのようだった

11/7/2025, 2:31:11 PM