うぐいす。

Open App

 星に願いを。
 ではなく。
 月に願いを。
 月に・・・、お願い事を三回繰り返せばいいのだろうか?
 でも、流れ星ならばともかく、月ならいつだって―――昼にだって見えるのだ。
 あまり特別感はないし、だから己の願いを託すには、少しだけ期待性に欠ける。
 ―――そもそも自分の中には、月はあろうことか、星にさえ授ける願い事がない。
 だって、現状に大いに満足しているのだから。
 君が隣にいてくれれば、願うことなんてそんなの、どこにもありはしないのだ。

 そう一人独白しながら、とっくのとうに冷たくなって動かない、大好きな彼女に頬擦りをした。

5/26/2024, 12:00:03 PM